「デザイン思考」という言葉は聞いたことがあっても、中身を説明できる人は多くありません。
スタンフォード大学d.schoolがまとめた5つのモードを知ると、これが特別なものではなく商売の基本を言語化しただけだと分かります。
5つのモード
- Empathize(共感) — 顧客を観察し、話を聞く
- Define(定義) — 本当の課題は何かを1文で言い切る
- Ideate(創造) — 解決策のアイデアを大量に出す
- Prototype(試作) — 粗くていいから形にする
- Test(検証) — 使ってもらって反応を見る
順に読めば、腕のいい商売人が昔からやってきたことです。デザイン思考の価値は、これを意識的に、順番通りにやるところにあります。
中小企業がつまずくのは①と②
多くの会社は③から始めます。「新商品のアイデアを出そう」と会議を開く。しかし①②を飛ばしているので、出てくるのは思いつきの羅列です。
①共感で大事なのは、聞くことより観察することです。「何に困っていますか」と聞いても、顧客は本当の困りごとを言語化できません。実際に作業しているところを横で見ると、本人が当たり前だと思って諦めている手間が見つかります。
②定義は「〇〇な人が、〇〇したいのに、〇〇できない」という1文にすること。ここが曖昧なまま先に進むと、後の工程が全部ぶれます。
AIをどこに使うか
面白いのは、AIが得意な工程がはっきり分かれることです。
- ①共感 — 蓄積した問い合わせや商談メモを読ませて、頻出パターンを抽出させる
- ③創造 — 定義した課題に対して、解決策を20案出させる。人間は3案で止まります
- ④試作 — 画面や文書のたたき台を、その日のうちに作らせる
一方、②定義と⑤検証の解釈は人間の仕事です。何を本当の課題とみなすか、顧客の反応をどう読むかは、責任を負う人間が決めることです。
明日からできること
今週、いちばん付き合いの長いお客様の現場に行って、何も提案せずに30分だけ作業を見せてもらう。
これが①Empathizeです。質問は「なぜそうしているんですか」だけでいい。たいてい、思いもよらない手間が見つかります。
デザイン思考の入口は、会議室ではなく現場にあります。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
