英国政府のデジタル部門(GDS)が2012年に公開した「サービスデザイン10原則」は、その後、世界中の行政と企業に引き写されました。日本のデジタル庁の指針にも、その影が濃く残っています。
面白いのは、行政向けに書かれたはずのこの10原則が、そのまま中小企業の経営原則として読めることです。
10原則
①利用者のニーズから始める ②Do less(減らす) ③データに基づいて設計する ④シンプルにするために、難しい仕事をする ⑤反復し、また反復する ⑥これは全員のためのものである ⑦文脈を理解する ⑧ウェブサイトではなくサービスを作る ⑨統一ではなく一貫を ⑩オープンにする
第2条「Do less」の破壊力
10のうち、中小企業に最も効くのは間違いなく②Do lessです。
政府が公式文書で「やることを減らせ」と言っている。これは驚くべきことです。行政は普通、やることを増やす方向にしか動きません。
その真意はこうです。「すでに誰かがうまくやっていることは、自分で作るな。既存のものを使え。自分たちにしかできないことだけをやれ」。
中小企業に翻訳するなら——自社でシステムを作らない。既にあるサービスを組み合わせる。自社の時間は、自社にしかできない仕事に使う。
第4条の含意
もう一つ深いのが④シンプルにするために、難しい仕事をするです。
シンプルなものは、楽して作られたのではありません。複雑さを引き受ける誰かがいて、その結果として利用者側が簡単になっている。
顧客に「分かりやすいですね」と言われるサービスの裏側には、必ず設計者の苦労があります。逆に言えば、分かりにくいサービスは、作り手が考える手間を顧客に押し付けているということです。自社の見積書、申込書、ホームページ。この目で見直すと、押し付けている箇所が見つかります。
第9条の実務的価値
⑨統一ではなく一貫を。全部を同じ型にはめる必要はないが、判断の基準はブレさせない。これは店舗が複数ある会社、部門がいくつかある会社に効きます。
マニュアルで縛るのではなく、原則を共有する。がんじがらめにせず、方向だけ揃える。
10原則は無料で公開されています。まず②と④の2つだけ、社内の壁に貼ってみてください。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
