「デザインにお金をかける余裕はない」。中小企業の経営者からよく聞く言葉です。デザイン=装飾、つまり余裕がある会社がやること、という理解が根強くあります。
その理解を揺さぶる数字があります。調査会社Forresterが実施した、IBMのデザイン思考導入に関する分析です。
3つの数字
- 3年間のROI 301%
- 市場投入までの速度が2倍
- 設計・開発時間が最大75%削減
注目していただきたいのは、3つとも「売上が伸びた」ではなく「速くなった・ムダが減った」という指標だという点です。
なぜ手戻りが減るのか
デザイン思考とは、平たく言えば「作る前に使う人に聞く」という順番の話です。
よくある失敗は、社長と現場が「たぶんこういう機能が要る」と想像で決め、半年かけて作り、いざ使ってもらったら誰も使わなかった、というパターン。この半年がまるごと損失になります。
先に3人でいいので実際の利用者に触ってもらえば、この半年は生まれません。開発時間75%削減の正体は、魔法ではなく作らなくて済んだ分なのです。
中小企業サイズへの翻訳
IBMの話をそのまま持ち込む必要はありません。従業員10名の会社なら、こうなります。
- 新しい取り組みを決める前に、現場の3人に「今いちばん面倒な作業は何か」を聞く
- 完成品ではなく、紙に描いた画面イメージを見せて反応を見る
- 「これじゃない」が出たら、その場で描き直す
紙とペンで済みます。費用はゼロで、避けられるのは数十万〜数百万の手戻りです。
もう一つの権威も同じことを言っている
マッキンゼーが300社を5年追跡した調査でも、デザインを経営判断に組み込んでいる上位企業は収益成長率が32%高いという結果が出ています。IBMもマッキンゼーも、別々の調査で同じ方向を指している。これは偶然ではなく構造です。
「デザイン=装飾」ではなく「デザイン=作る前に確かめる技術」。この言い換えができた瞬間から、中小企業でも今日から使える経営手法になります。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
