「DXをやれと言われても、何から手をつければいいのか分からない」。秋田で経営者の方とお話ししていて、いちばん多く聞く言葉です。
実は、その答えの骨格は国がすでに公開しています。内閣官房IT総合戦略室の「サービスデザイン実践ガイドブック」にあるサービス設計12箇条です。
12箇条をざっくり並べると
①利用者ニーズから出発する ②事実を元に作る ③end-to-endで設計する ④全ステークホルダーを巻き込む ⑤チームで作る ⑥アジャイルに継続改善する ⑦データで改善し続ける ⑧利用者の声を聞き続ける ⑨デジタルを活用する ⑩ルールを変えることを恐れない ⑪変化に対応できる体制を作る ⑫失敗を恐れずトライする。
読んでいただくと分かる通り、ここに「システムを導入する」という項目は一つもありません。DXの本体はツール選びではなく、①〜③の「誰の、どんな困りごとを、どこからどこまで面倒みるか」の整理なのです。
AIで実装できるのはどれか
ここからが本題です。12箇条のうち、いま生成AIで一気に前進できるのは①②③⑥⑦⑨の6つです。
- ①利用者ニーズから出発する — 問い合わせメール・電話メモ・アンケートの自由記述をAIに読ませて、頻出する困りごとを分類する。人間が3日かかる作業が30分になります。
- ②事実を元に作る — 勘と経験の「たぶんこうだろう」を、手元の受注データで検証する。
- ⑦データで改善し続ける — 月次の数字を毎回AIに要約させ、前月との差分だけを report させる。
逆に、④⑤⑩⑪はAIには代われません。社内の合意形成と、社長の腹決めの領域です。
12箇条は「診断票」として使う
12箇条の本当の使い道は、チェックリストとしての診断です。自社に当てはめて○×を付けてみてください。×が多い箇所が、そのままDXの初手になります。多くの中小企業では①②⑦に×が並びます。つまり「お客様の声を集めていない・数字で確かめていない・改善が続いていない」。ここはAIがもっとも効く領域です。
国が12箇条を公開しているということは、これに沿った取り組みは補助金申請の文脈でも説明しやすいということでもあります。「なんとなくAIを入れたい」ではなく「サービス設計12箇条の①②⑦を強化するために導入する」と書ければ、審査員に伝わる申請書になります。
まずは12箇条を印刷して、朝礼で1条ずつ読み合わせるところから。それだけでも社内の目線は揃います。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
