ドイツの工業デザイナー、ディーター・ラムスが1970年代にまとめた「良いデザインの10則」は、いまも世界中の設計者に読まれています。
その最後の一つが、こうです。
「良いデザインは、できる限りデザインしない(as little design as possible)」
10則の骨格
①革新的である ②有用である ③美しい ④理解しやすい ⑤控えめである ⑥誠実である ⑦長持ちする ⑧細部まで行き届いている ⑨環境に配慮している ⑩できる限り最小限である
読んでいくと、装飾の話が一つも出てこないことに気づきます。有用性、理解しやすさ、誠実さ、耐久性。これは道具の思想です。
第5条「控えめである」の意味
ラムスは、良い道具は「中立で、沈黙している」べきだと言いました。
道具が自己主張すると、使う人の意識がそちらに持っていかれる。良い道具は、使っていることを忘れさせる。
この考え方を経営に持ち込むと、こうなります。良い会社は、奇をてらわない。
派手な打ち出しで一時的に注目を集める会社より、当たり前のことを当たり前に、10年続けている会社のほうが強い。地方で長く続いている会社を見れば、これは実感として分かるはずです。
第10条は引き算の指示
「できる限り最小限である」。これは手抜きの推奨ではありません。
本質でないものを、全部そぎ落とせという指示です。そのためには、何が本質かを見極める必要がある。引き算のほうが、足し算より難しい。
自社の商品説明資料を思い浮かべてください。ページ数は増える一方ではありませんか。機能を全部書き、実績を全部載せ、結果として何が売りなのか分からなくなっている。
3ページに削る。それができるなら、本質を掴めている証拠です。
第6条「誠実である」
もう一つ、経営に直接効くのが⑥です。ラムスの言う誠実さとは、製品を実際以上に見せかけないということ。
できないことをできると言わない。納期を守れないなら最初に言う。これは倫理の話であると同時に、長期的にはコストの話でもあります。誇張の後始末には、必ず何倍もの手間がかかります。
10則を貼る
この10則の良いところは、業種を選ばないことです。製造業でも、サービス業でも、建設業でも当てはまる。
事務所に貼って、月に一度読み合わせる。それだけで判断の軸が揃います。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
