1994年に発表され、30年以上たったいまも世界中で使われているUIの評価基準があります。ヤコブ・ニールセンの10ヒューリスティクスです。
30年生き残っているということは、技術が変わっても人間の認知は変わらない、ということでもあります。
10の原則
①システム状態の可視性 ②現実世界との一致 ③ユーザーの制御と自由 ④一貫性と標準 ⑤エラーの予防 ⑥記憶より認識 ⑦柔軟性と効率 ⑧美的でシンプルなデザイン ⑨エラーからの回復 ⑩ヘルプとドキュメント
第6条が最も効く
中小企業の現場でいちばん効くのは、⑥記憶より認識——通称「考えさせるな、見せろ」です。
たとえば業務システムで、商品コードを暗記していないと入力できない画面。これは記憶に頼らせています。商品名で検索できて、候補が一覧で出れば、認識で済みます。
同じことが社外向けにも言えます。ホームページの問い合わせフォームで「お問い合わせ種別」を自由記述にすると、来訪者は何を書けばいいか考えます。選択肢を5つ出せば、選ぶだけで済む。
考えさせた分だけ、離脱します。
第1条と第9条はセットで
①システム状態の可視性 — 今どうなっているかを常に見せる。送信ボタンを押した後に何も表示されないシステムは、ここに違反しています。
⑨エラーからの回復 — 間違えたときに、どう直せばいいかを具体的に伝える。「エラーが発生しました」だけの表示は最悪です。「郵便番号はハイフンなしで入力してください」まで書く。
この2つは、実装コストが低いわりに定着率への効果が大きい。改善の優先順位としては最上位です。
使い方は「レビュー」
10原則の実用的な使い方は、自社サイトや業務システムを1画面ずつ開いて、10項目に○×を付けることです。
3〜4画面もやれば、パターンが見えてきます。だいたい同じ原則に×が付くはずです。それが自社の癖です。
AI時代でも変わらない
生成AIで画面を作れる時代になり、「作る」コストは劇的に下がりました。しかし「良し悪しを判断する」能力の価値は、むしろ上がっています。
作れる人より、これは良い・これはダメと言える人のほうが希少になる。10原則は、その判断力を身につけるための最短の教科書です。
まずは⑥だけ。「これ、覚えていないと使えないな」という箇所を自社の中から3つ探してみてください。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
