「大手が同じサービスを始めたら、うちは終わりじゃないか」。新しい取り組みを始めるとき、必ず出てくる不安です。
結論から言えば、その心配はほとんど当たりません。理由は一つ。技術はコピーできますが、信頼関係はコピーできないからです。
コピーできるものと、できないもの
いまの時代、技術的な優位は驚くほど早く消えます。あるサービスが便利だと分かれば、半年で似たものが出てきます。AIの登場で、この速度はさらに上がりました。
では、コピーできないものは何か。
20年間その社長の相談に乗ってきた、という事実です。
工場に何度も足を運んだこと。決算が厳しかった年に一緒に頭を抱えたこと。息子さんの代替わりの話を聞いていること。これらは、どれだけ資本を投じても後から買えません。
大手SaaSベンダーの弱点
全国展開している大手のサービスは、機能では確実に上です。しかし彼らには決定的な弱点があります。
その会社の事情を知らない。
秋田の建設業の繁忙期がいつか、雪でどの月の稼働が落ちるか、地元の元請けとの力関係がどうなっているか。これらを知らないまま「標準機能」を提示するので、現場で合わない。
一方、地元で長く商売をしてきた会社は、これを全部知っています。この差は、機能差より大きく効きます。
だから、新規開拓より既存深耕
この構造から導かれる戦略は明快です。
知らない100社に売り込むより、すでに信頼がある10社を深く耕す。
新しい商品やサービスを始めるとき、最初に持っていくべきは新規の見込み客ではなく、いちばん長い付き合いのお客様です。話が早く、率直な意見が返ってきて、うまくいけば紹介まで繋がります。
そして紹介は、地方では最強の営業チャネルです。組合や商工会の繋がりで、評判は驚くほど速く回ります。
資産として意識する
大事なのは、この信頼関係を資産として意識的に扱うことです。
誰と、何年、どんな話をしてきたか。それを記録として残していますか。社長の頭の中にしかないなら、それは会社の資産ではなく個人の記憶です。
顧客との対話の記録を残し始めること。それが、コピーできない資産を会社のものにする第一歩になります。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
