導入したシステムを、現場が使ってくれない。結局Excelに戻ってしまった——中小企業のDXで最も多い失敗です。
原因は「現場の意識が低いから」ではありません。ほとんどの場合、単純に使いにくいのです。
では「使いにくい」をどう判定するか。デジタル庁が2025年に公開したユーザビリティガイドライン(DS-670.1)に、8つの原則が示されています。
8原則
- 利用者の目標達成を最優先する — 機能の多さより、やりたいことが終わるか
- 簡潔・明確に情報を出す — 1画面に詰め込まない
- 一貫したUI設計 — 同じ操作は同じ場所・同じ見た目で
- エラーの予防と、回復のしやすさ — 間違えさせない、間違えても戻れる
- アクセシビリティの確保 — 文字が小さすぎない、色だけで区別しない
- 多様な利用環境への対応 — スマホでも現場のタブレットでも使える
- フィードバックを明確に — 押したら何が起きたか分かる
- 継続的な改善サイクル — 入れて終わりにしない
現場が離脱する典型は④と⑦
経験上、中小企業の業務システムでつまずくのは④と⑦です。
④エラーの予防と回復 — 入力を1つ間違えただけで最初からやり直しになる。これで現場は一発で嫌になります。「戻る」が効く、途中保存ができる。それだけで定着率が変わります。
⑦フィードバックの明確化 — 登録ボタンを押しても、何も表示されない。保存されたのか分からないから、不安になってもう一度押す。二重登録が発生する。「保存しました」の一行があるかないかで、現場の信頼はまるで違います。
使い方は「採点」
この8原則の実用的な使い方は、導入前の採点です。
システムの提案を受けたら、デモの画面を見ながら8項目に○×を付けてください。×が3つ以上あれば、そのシステムは現場に定着しません。値段や機能の多さより、この採点のほうが判断材料として役立ちます。
すでに導入済みのシステムに対しても同じことができます。×が付いた箇所をベンダーに伝えれば、改善要望として具体的に話ができる。「なんか使いにくい」より、はるかに通ります。
政府が公開している以上、これは無料で誰でも使える公的な品質基準です。使わない手はありません。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
