物価が上がる時代の勝ち負けは、資産を持っているかどうかで決まる。そう思われがちですが、現場を見ているとそうではありません。分かれ目は値段を自分で決められるかどうかです。
国の試算では、2027年度も企業物価3.8%に対して消費者物価2.1%で、仕入れと売値の差は続く前提で組まれています。一時的な波ではなく、当面の地形として置かれている。この差を飲むかどうかを決めるのが、値付けの主権です。
構造的に苦しいのは、値段を自分で決められない事業です。介護のように報酬が公定価格で決まっている業種は、原価が上がっても転嫁の出口が制度上ありません。建設の下請けも、元請けの発注単価が天井になるという意味で同じ形です。資産を持っていないから苦しいのではなく、値札を他人が書いているから苦しい。
だから処方箋も、「頑張って値上げ交渉をする」ではありません。値札を自分で書ける領域を、事業の中に1つ作ることです。介護なら公定価格の外にある自費サービス。下請けなら元請けを通さない直接受注の細い線。製造なら、図面を渡される仕事の隣に、自社で仕様を決める小さな商品。
大きくする必要はありません。売上の1割で構いません。ただしその1割は「価格を自分で決めた経験」として残ります。経験が残ると、既存の取引でも交渉の仕方が変わります。
伴走の現場でいちばん時間をかけるのは、実はここです。効率化は入口で、値付けの主権を1つ取り戻すところまで行かないと、数字は変わりません。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
