2026年7月、こういう記事が出ました。企業価値10億ドル超と評価されていた未上場企業(ユニコーン)の多くが行き詰まっていて、失われる評価額は1兆ドルに達する試算もある、と。原因は金利上昇で、投資家の目が離れ、上場も売却も見込みにくくなったことだといいます。
ここで1つだけ、言葉を疑ってみます。その1兆ドルは、失われたのでしょうか。
「評価額10億ドル」とは、直近の資金調達で誰かと誰かが「これは10億ドルの価値がある」と合意し、その単価に全株数を掛け算した数字です。銀行に1兆ドルがあったわけでも、金庫に眠っていたわけでもありません。次に同じ強気で値を付けてくれる投資家がいる、という前提だけが裏書きでした。
金利が上がって、その前提が消えた。すると値札も消えた。消えたのは、もともと空気だったものです。
この話が地方の中小企業に関係するのは、規模の話としてではありません。自社の値段が、何で書かれているかという話としてです。実際に入ってくる現金で書かれているか、それとも「この業界はこれくらい」という言い合いで書かれているか。
事業承継や、金融機関との交渉や、いつか会社を誰かに渡すとき。前者は金利が動いても残りますが、後者は前提が変わった日に消えます。派手さでは負けても、毎月きちんと現金が出ている小さな会社のほうが、こういう局面ではずっと強い。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
