「月次の試算表(=毎月の成績表)を出してください」
会社の数字を見てもらおうとすると、たいてい最初にこう言われます。 銀行も、コンサルも、支援機関も、まず試算表から始めます。それが正しい順番だからです。
ただ、現場には試算表が存在しない会社がたくさんあります。 決算は年に1回、税理士さんが締めてくれる。月ごとの数字はまとめていない。 怠けているのではありません。月次の試算表を作る余力そのものが無いのです。そして、数字を一番見たほうがいいのは、たいていこういう会社です。
この記事は、そういう会社を「試算表を作ってから見る」のではなく、無いまま見る方法の話です。
試算表を「作らせる」と、そこで止まる
試算表が無い会社に「まず試算表を」とお願いすると、何が起きるか。
整理が始まります。領収書を集め、通帳を写し、棚卸しをして、私的な支払いを仕分ける。 これが終わるまで、誰も数字の話ができません。そして多くの場合、ここで止まります。
私たちは、この整理の作業をお願いしないことにしました。 やり方は単純で、見る指標(=物差し)の選び方を変えただけです。
要求する紙は2枚だけ
| 見たいもの | どこから読むか | 試算表 |
|---|---|---|
| 手元の現金 | 通帳 | 要らない |
| 毎月出ていくお金 | 同じ通帳 | 要らない |
| 借入の残高・毎月の返済・金利 | 返済予定表(銀行が発行するもの) | 要らない |
借入がある会社なら、通帳と返済予定表はどちらも手元にあります。新しく作る必要がありません。 そして通帳は化粧ができません。試算表は整え方で見え方が変わりますが、出ていったお金の事実は動かせないからです。
(決算書は年に1回、税理士さんから届きます。それは年に1回、そのまま使います。)
出ていくお金を「3層」に割る
通帳の出金をひとまとめにすると、意味が消えます。だから必ず3つに割ります。
| 層 | 中身 | 意味 |
|---|---|---|
| A 消える出金 | 役員報酬・給与・社会保険・家賃・サブスク・支払利息 | 二度と戻らない。これが本当の燃焼 |
| B 資産になる出金 | 共済掛金・積立・保険の積立 | 出ていくが、帳簿の外に貯まっている |
| C 負債が減る出金 | 借入の元金返済 | 出ていくが、そのぶん借金が減っている |
ここが大事なところです。 決算書や試算表の損益(=P/L)では、この3層が混ざります。 元金の返済は損益には出てこず、共済の掛金は経費として消えてしまう。帳簿のルールとして正しい処理なのですが、「本当に燃えているお金はいくらか」は見えにくくなります。
通帳から読むと、3層に割れます。 これは試算表より優れているという話ではありません。見ている場所が違う、という話です。
出てくるのは「4行」だけ
数字を集めたら、会社の価値(企業価値)を計算して見せる……のが普通のやり方です。 私たちはそれを見せません。見せるのは次の4行だけです。
| # | 出力 | 中身 |
|---|---|---|
| ① | 個人保証の残高 | 会社がつまずいた時、社長個人と家族に残る金額 |
| ② | 今すぐ畳んだ場合の手残り | 資産を売って、借金を返して、閉める費用を払った残り。たいていマイナスになります |
| ③ | 売った場合の手残り(税引後) | 会社を譲った時、税金を払ったあとに社長の手元に残る額 |
| ④ | このまま3年続けた場合の①②③ | 待つことのコスト |
企業価値は、この4行を出すための途中の数字(=中間変数)にすぎません。 社長の頭の中に実際にあるのは「家族に何が残るか」と「自分の手元にいくら残るか」の2つです。途中の数字ではなく、そこに直接答える形にしました。
そのうえで、借入の返済が毎月の燃焼にどれだけ重なっているかを見たいときは、通帳の横に返済予定表を並べてください。この2枚の紙だけで、会社の「いま」はかなりの部分まで見えます。
税理士さんの代わりではなく、その手前
ここは誤解のないように書いておきます。
この4行は、税理士さんの仕事の代わりではありません。 税務の判断も、決算も、申告も、税理士さんの仕事です。4行の③(税引後)も、スキームによって大きく変わるので、最後に言い切るのは税理士さんと弁護士さんです。
私たちがいるのは、その手前です。 「試算表が無いから、相談に行けない」「何を聞けばいいか分からない」という会社が、専門家の前に座れる状態になるまでの場所です。 4行が出ると、「この③を税理士さんに確かめてもらおう」「①が大きいから、弁護士さんに一度聞いておこう」と、次に行く先が決まります。
士業の先生方とは、競合ではなく、そこへつなぐ側だと考えています。
二階建てにしている理由
この仕組みは、二階建てにしています。
| 1階(AI番頭) | 2階(担当者の所見) | |
|---|---|---|
| やること | 数字を整理し、4行を出し、催促する | 4行の意味を伝え、次の専門家へつなぐ |
| 助言するか | しない。数字を並べるところまで | ここで初めて、言葉にする |
1階の「番頭(=昔の商家で帳場を預かった人)」の一番の仕事は、分析ではなく催促です。 「今月の通帳、まだです」「返済予定表が更新されていません」。 人は気まずくなって、3か月で催促をやめます。AIは何度でも、気まずくならずに催促できます。数字が止まらないことが、試算表の無い会社にとっては一番効きます。
この記事が言わないこと
- 個別の会社の数字について、どうすべきかは書いていません。
- 試算表を作らなくていい、とは言っていません。作れる会社は作ったほうがよいです。この記事は、作れない会社の入口の話です。
- 4行のどの数字も、最後の判断は税理士・弁護士などの専門家に確かめてください。
自分の会社で、今日やれること
- 通帳を3か月分、手元に出す
- 出金に、A(消える)/B(資産になる)/C(負債が減る)の印を鉛筆でつける
- Aだけを足す。それが、あなたの会社の本当の毎月の燃焼です
これだけで、試算表を待たずに「毎月いくら燃えているか」が分かります。
―――――――――――――――――――― 発行 合同会社ヨミノワ(秋田市)
本記事は一般的な考え方を紹介するものであり、個別の取引・税務・法務についての助言ではありません。
この記事は、AIが資料を集めて下書きし、代表が確かめて公開しています(AHW)。
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