2026年4月から9月まで、当社は会社のブログをAIだけで回していました。記事のネタ出しから下書き、公開まで、人の手を入れない仕組みです。朝8時と夜7時40分に1本ずつ、半年で265本を書かせ、240本を公開しました。
9月23日に、この仕組みを止めました。止める前に、Googleの検索データで全記事の成績を洗い直しました。その数字と、そこから分かったことを残しておきます。
数字で見る半年
- AIが書いた記事:265本(公開したのは240本。25本は下書きのまま)
- 検索結果に一度でも表示された記事:ブログ全体の公開記事267本(AIの240本を含む)のうち204本
- 検索から一度でも読みに来てもらえた記事:同じ267本のうち36本
- サイト全体の検索からのクリック:188回(2026年4月14日〜9月20日・Google Search Console)
※検索の数字はブログ全体(267本)で数えています。AIの240本だけに絞った内訳は取っていません。
表示はされる。でも、押されない。これが半年の結論です。
AIだけでできたこと
- 量と継続。人が1分も使わずに、半年間、1日2本を切らさずに出し続けました。人間には無理な続け方です。
- 検索に載ること。記事の8割近くは、検索結果に一度は顔を出しました。
- 固有の情報を持つページは勝つ。当社がジビエの交付金を出典と確認日つきで整理したページは、「ジビエ 補助金」などの検索で平均5位前後に表示されています(2026年10月2日時点・Google Search Console)。これは人が現場で集めた情報を、AIが整えた形のページです。
AIだけではできなかったこと
- 読まれること。統計の数字をまとめた記事は、検索で上位に出てもほとんど押されませんでした。数字だけなら、検索画面のAIの要約で用が足りてしまうからです。
- 誰が書いているかを伝えること。よく読まれた記事の上位は、宮沢賢治や空海とAIを重ねた記事でした。統計の要約ではなく、書き手の見方がにじんだ記事です。
- 決めたことを守らせること。8月に「本数を減らして1本を厚くする」と決めたのに、仕組みは古い設定のまま1日2本を出し続けていました。決めたことが機械に届いていなかったのです。
- 自分の宣言と食い違わないこと。当社のAI活用宣言には「AIの出力がそのままお客様に届くことはない」と書いていました。ブログの自動投稿は、その例外になっていました。9月23日に宣言に追記し、正誤表に記録しています。
だから、AHWに切り替えた
半年やって分かったのは、AIは「組む」のが得意で、人は「伝わる形に仕上げる」ところにしか出番がない、ということでした。逆に言えば、人の出番はそこだけでいい。
そこで当社は、AIが組み、AIが「ここは人の手が要る」と判断した場所だけを人が仕上げ、その分担を隠さずに公開する進め方に切り替えました。名前はAHW(AI and Human Work Together)です。自動投稿した240本には、それぞれ冒頭に「AIだけで運用していた期間の記事です」と表示しています。
この半年は、結果として自社を実験台にした実地の検証になりました。AIをどこまで任せてよいか迷っている会社の方に、当社の数字が一つの目安になればと思います。
AIで大半ができるからこそ、摩擦を探しに行く
これからAIの書いた記事は、もっと増えます。どこを開いても似た文章が並ぶようになると、読む人は逆に「誰が書いたのか」「その人は何を見てきたのか」を探しはじめます。量が増えるほど、人間らしさのほうへ強制的に引き戻される。私はこれを「人間性への強制回帰」だと考えています。
ただ、人間性や個性は一朝一夕には積み上がりません。積み上がる元は、日々の実務と、そこで起きる摩擦です。お客さんに言われたひと言、見当違いの提案をしてしまった日、手を尽くしても成果が出なかったとき、電話口で詰まった沈黙、現場で見た数字。そういう引っかかりが、その人にしか書けない一文になります。
困ったことに、AIやデジタルは、この摩擦を強制的に減らしていきます。調べものも、下書きも、やり取りも、ぶつからずに済むようになる。便利になった分だけ、書く材料が静かに痩せていきます。
だから当社は、順番を決めました。人と話す。電話する。会いに行く。そこで拾ったものを、AIと一緒にコンテンツにする。主体はあくまで人で、AIは一緒に仕上げる相棒です。AIで大半のことができるからこそ、空いた時間で摩擦を探しに行く。それがAHWのいちばん大事なところだと思っています。
秋田の会社のみなさんへ
「AIで記事を量産すれば集客できる」という話を聞いたら、この数字を思い出してください。量は出せます。でも、読まれるかどうかは、書き手の顔が見えるかどうかで決まります。AIに任せるところと、社長自身が出るところ。その線引きのご相談は、お問い合わせからどうぞ。
この記事は、AIが数字を集めて下書きし、代表が自分の考えを足して確かめ、公開しています(AHW)。