合同会社ヨミノワのジビエ事業。秋田県羽後町で、捕獲されたツキノワグマの利活用を「記録する・引き受ける・常温にする」の3本で進めています。一般社団法人日本ジビエ振興協会の法人会員。制度と数字は出典・確認日つきで公開。
獲った熊を、記録して、資源にする
秋田県羽後町で、捕獲されたツキノワグマの利活用に、現場から取り組んでいる現在進行形のプロジェクトです。合同会社ヨミノワは一般社団法人日本ジビエ振興協会の法人会員として、同協会とパイロットプロジェクトを進めています。
このページに、完成した成功事例は書いてありません。書けるのは、いま進めていることと、調べて分かった数字だけです。進んだ分だけ、このページを更新します。
[写真: 現場・人が写らない]
今どこまで来たか(年表)
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年春 | 熊肉の販売ルート・許認可・補助金について、法令と一次資料をひととおり調べ直す |
| 2026年 | 一般社団法人日本ジビエ振興協会の法人会員となり、パイロットプロジェクトを開始 |
| 2026年7月31日 | 羽後町でジビエ利活用の勉強会と試食会を開催(協力:合同会社ヨミノワ/参加25名/行政関係者を含む)。熊・猪あわせて6品目を試食 |
| 2026年8月 | 地元紙に取り上げられる |
| 2026年9月 | 町の資源として続けるための事業のかたちを、関係者と協議中 |
勉強会と試食会では、中心温度75℃で1分間以上の加熱と同等以上になるよう管理して提供しました。試食に起因する健康被害の報告はありません。
秋田のジビエ、数字の現在地
制度と予算は年度で動きます。出典と確認日を必ず添え、四半期に1回見直します。
| 何 | 数字 | 出典 / 確認日 |
|---|---|---|
| 秋田県内のジビエ処理加工施設 | 4施設 | 農林水産省 ジビエ処理加工施設の一覧 / 確認 2026-09-02 |
| 鳥獣被害防止総合対策交付金(令和9年度 概算要求) | 19,574百万円(前年度 9,900百万円=約2倍) | 農林水産省 事業の概要(概算要求PR版) / 確認 2026-09-05 |
| 国が掲げるジビエ利用量の目標 | 4,000t(令和11年度まで) | 同上 / 確認 2026-09-05 |
| 未利用部位のペットフード利用 | 令和9年度の概算要求に明記あり | 同上 / 確認 2026-09-05 |
読み方をひとつだけ。国は予算を倍にしようとしていて、県内で受け皿になれる施設は4つしかありません。 お金より先に、受け皿と記録が足りていない、というのが現在地です。
なぜAI会社がクマなのか?
秋田県は全国有数のツキノワグマ出没地域です。人里への出没が増え、捕獲される個体も増えていますが、その多くは食肉として活用されないまま処分されています。
獣害対策が「駆除して終わり」である限り、地域には負担だけが残ります。捕獲された命が適切に処理され、価値ある食資源として地域の経済に還る仕組みができれば、獣害対策はコストから資源に変わる——地域事業の支援を本業とするヨミノワにとって、これは机上では解けない、現場でしか解けない課題です。だから自分でやっています。
「防ぐ対策」だけでは足りない?
カメラトラップ、出没通知アプリ、箱わな、忌避スプレー、熊鈴——いずれも大切な対策で、否定するつもりはまったくありません。ただ、これらはすべて「防ぐ」「追い払う」ための道具です。
ヨミノワの答えは、その先にあります。産業として持続可能で、収益を生み出す新たな産業をつくること。 獣害対策が補助金と善意だけで支えられている限り、担い手は増えません。クマの利活用が「続けられる仕事」になったとき、はじめて対策は地域に根づく——それがヨミノワの立ち位置です。
「本当の利活用」とは何か?
捕獲されたクマを、話題性のための一発企画ではなく、猟師・処理・流通・食卓まで筋の通った形で活かすことです。
クマ肉は、鮮度管理と処理の質で味がまったく変わる食材です。だからこそ、捕獲から処理までの時間、止め刺しの方法、衛生管理といった現場の技術が決定的に重要で、これは地元猟師の方々との信頼関係なしには成立しません。ヨミノワはいま、その土台づくりの段階にいます。
[写真: 現場・人が写らない]
ヨミノワがやっていること(3本)
処理や解体の腕前は、猟師と処理施設のものです。ヨミノワがやるのは、その手前と後ろにある記録・制度・仕組みの3本です。どれも、いま誰かが埋めないと先に進まない場所だから選びました。
1. 記録する — 台帳をつくる
やること:いつ・どこで・誰が獲り、どう処理したかを、あとから引ける形(=台帳)で残す仕組みをつくる。頭数の管理を紙とホワイトボードから、検索できるデータに移します。
なぜここか:ブランドも認証も、記録がなければ成立しません。厚生労働省のガイドラインも、捕獲の日時・場所・方法・被弾部位・外見の異常の有無・放血や内臓摘出の状況を記録に残すことを求めています。それでも、記録の土台をつくる担当は空席のままでした。 AIとシステムを本業にしている会社が入る意味は、たぶんここにしかありません。
2. 引き受ける — 受け皿になる
やること:処理施設のない町で獲れた個体を、羽後町が引き受けられるようにする(=広域搬入)ための、制度と段取りの設計。
なぜここか:県内の処理加工施設は4施設。物語のない町でも、県全体のインフラ(=土台となる設備)にはなれます。 ただしこれは他の市町村との合意が要るので、いますぐの話ではありません。順番としては2年目以降です。
3. 常温にする — 保存がきく形にする
やること:加熱して仕上げる加工品と、未利用部位の使い道(ペットフードなど)を検討する。
なぜここか:加熱すれば寄生虫のリスクは消え、在庫は腐らず、道の駅やふるさと納税、通信販売に乗ります。国は令和9年度の概算要求に「未利用部位のペットフード利用」を書き込みました。 生肉と飲食店だけを見ていると、この行は視界に入りません。
[写真: 現場・人が写らない]
よくある質問
より詳しい版はジビエのよくある質問にまとめています。補助金だけを見たい方は鳥獣・ジビエの補助金地図へ。
熊肉は安全に食べられる?
適切に処理し、十分に加熱(中心温度75℃・1分以上が目安)すれば食べられます。野生鳥獣の肉を生食することは絶対に避けてください。これは厚生労働省の野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)でも明示されています。同ガイドラインはイノシシとシカを念頭に作られていますが、他の野生鳥獣を扱うときにも留意すべきものとされています。(確認 2026-09-05)
熊肉はどんな味?
処理の質に大きく左右されますが、適切に処理されたクマ肉は脂に独特の甘みがある、力のある赤身肉です。「クマは臭い」という通説の多くは、処理の問題であって素材の問題ではないと私たちは考えています。
熊肉を売るのに、どんな許可が要る?
食肉処理業の営業許可(食品衛生法)が土台です。同じ施設の中で小売りをする分には、追加の許可は不要とされています。一方、他の場所に卸したり別拠点で売ったりする場合は食肉販売業の許可が必要です。ただし線引きは施設の造りと売り方で変わります。着手する前に管轄の保健所に確認してください。(確認 2026-09-05)
旋毛虫(せんもうちゅう)の検査は義務?
法律上の義務ではありません。 と畜場法の対象は牛・馬・豚・めん羊・山羊で、熊は入っていません。義務がない代わりに、十分な加熱(中心温度75℃・1分以上)が唯一にして最大の予防策になります。E型肝炎ウイルスも同じ考え方です。自主的に検査を出すことはできます。
捕獲した熊は、誰のもの?
野生の鳥獣は民法上の「無主物(=持ち主のいないもの)」で、鳥獣保護管理法に所有権の帰属を定めた条文はありません。狩猟期間中の狩猟なら猟師、市町村から委託を受けた有害鳥獣捕獲なら契約次第、というのが一般的な整理です。条文がないということは、揉めたときに拠りどころがないということでもあります。 市町村と猟友会のあいだで、所有権の移り方を覚書などの書面にしておくのが一番安全です。
補助金は何がある?
国の交付金が中心です。金額・交付率・実施主体は年度で変わるので、鳥獣・ジビエの補助金地図に出典と確認日つきでまとめています。
事業を譲り渡したら、食肉処理業の許可は引き継げる?
食品衛生法には営業者の地位の承継という仕組みがあり、相続・合併・分割のほか、2023年12月13日以降の事業譲渡も届出で引き継げる対象に入りました。ただし業種と許可を受けた日で扱いが変わります。 譲る側・譲られる側の双方が動く前に、管轄の保健所に確認してください。(確認 2026-09-05)
補助金でつくった施設や機械は、あとから自由に処分できる?
できません。補助金で取得した財産には処分制限があり、交付の目的に反して使ったり、譲ったり、貸したり、担保に入れたりするときは承認が要ります。数年以内に事業を誰かに譲る可能性があるなら、申請する前に、その可能性を含めて交付元に相談してください。 黙って進めるのが一番高くつきます。
協議会が主体、とはどういう意味?
国の交付金の多くは、事業を実施する主体を「市町村」や「地域協議会」「民間団体等」と決めています。つまり、個人や1社では直接申請できないメニューがあるということです。だから器(=申請できる法人や協議会)をどう用意するかが、金額の話より先に来ます。
一般社団法人はつくったほうがいい?
一概には言えません。 交付金の実施主体になれる・事務局を持てるという利点がある一方、資金調達の面では不利な点があります。持分がないので出資は受けられず、信用保証協会の保証対象は「会社および個人」と組合が基本です。器の選び方は、何を申請するかと、誰が返済の主体になるかで変わります。
「うちは補助金が通りますか」と聞いてもいい?
お尋ねいただいて差し支えありませんが、このページでは個別に「通る/通らない」の判断はお答えいたしません。 制度の一般的な説明と、どこにお尋ねいただくかの窓口までが、このページの役割です。個別の案件はご相談として承ります。
連携の形(相手別)
自治体・協議会の方へ
交付金の実施主体・事務局まわりの設計と、申請から実績報告までに必要な資料・データの整理をお引き受けいたします。頭数と処理の記録をデータで残す仕組みも、あわせて設計いたします。
📌 官公署に提出する書類の作成そのものは行政書士の業務です。当社では代行いたしません。 必要な場合は行政書士と連携してお進めいたします。(行政書士法第19条/令和8年1月1日施行の改正法)
猟友会・処理施設の方へ
台帳(頭数・処理の記録)のデジタル化と、補助金制度の調査・整理です。「まず何から手をつけるか」というご相談のみでも承ります。
飲食店・加工事業者の方へ
原料の確保と、加工・保存がきく形にするところのつなぎ役です。制度上どこまでできるかの整理からご一緒いたします。
補助金の話は補助金支援、AIとシステムの話はAI駆動開発もあわせてご覧ください。
To be continued. 続きはこのページで。
ご連絡はお問い合わせより承ります。
最終更新: 2026-09-05
