農業法人向け 補助金の地図

    来年度に買う機械の補助金は、今年の秋に決まります。そして、審査の加点は申し込む直前には取れません。
    このページは、秋田の農業法人と認定農業者のために「どの制度が、だれに、いつ開くか」を1枚の地図にしたものです。

    書いているのは、秋田市の合同会社ヨミノワです。私たちは申請書を代わりに書く会社ではありません。制度を同じ物差しに並べ、「いつまでに、何を、どこに」を逆算して、窓口へつなぐ会社です。私たち自身も補助金の申請者で、交付金が後払いになる「立て替えの谷」を同じように経験しています。

    採択(=審査に通ること)を約束するものではありません。
    数字は特記のない限り、2026年10月20〜21日に国・県・市・公庫の一次資料で確かめたものです。制度は年度ごとに変わるため、申し込む前に最新の公募要領(=募集のルールブック)を必ず1度確かめてください。


    1. なぜ農業の補助金は分かりにくいのか

    ① 入口がたくさんある
    国(農林水産省)・秋田県・市町村・日本政策金融公庫(以下「公庫」)のそれぞれに制度があり、同じ「機械を買う」でも窓口が3つ4つに分かれます。中小企業庁の補助金(持続化補助金など)も一部使えるため、さらに散らかります。

    ② 国に直接申し込む型ではない
    農業の補助金の多くは「交付金」です。お金は 国 → 県 → 市町村(地域農業再生協議会) → 農家 の順に降りてきます。始まりは、市町村の要望調査(=来年度どれくらい使いたいかの聞き取り)に手を挙げることです。

    ③ 来年度の分を、今年の秋に決めている
    例:大仙市は、令和9年度に機械を買う分の要望を2026年9月に集めました(大仙市 担い手通信47号)。締切日は市町村ごとに違います(農水省も「市町村が設定する」としています)。お住まいの市町村の日程は、診断の中でこちらで確かめます。

    ④ 名前がよく変わる
    – 旧「農地利用効率化等支援交付金」→ 令和8年度から 地域農業構造転換支援事業
    – 秋田県の旧メガ団地事業 → 稼ぐあきたの園芸経営体応援事業(R8〜R11)

    古い名前で検索すると、古いページに当たります。

    ⑤ 小さい経営体は通りにくい
    秋田市農業委員会の要望書(令和7年11月)にも、国の補助は大規模な経営体への支援が多く、小規模の農業者は採択されにくい、とあります。だからこそ、次の「入口の資格」と「4章の加点」を早めに仕込むことが効きます。


    2. 入口の資格(先にここを確かめる)

    多くの事業は、資格を持っているかで門が開くかどうかが決まります。認定農業者は「点数」ではなく「入場券」です。

    資格 どんなものか どこで
    地域計画の目標地図に載る 地域の10年後の農地をだれが使うかを決めた計画に、担い手として名前があること。多くの事業の前提 市町村(農業委員会)。随時変更できる
    認定農業者 5年後の経営改善計画を市町村が認定。スーパーL資金の条件にもなる 市町村。標準1か月
    認定新規就農者 新しく始める人の計画を市町村が認定。原則18〜45歳未満 市町村
    集落営農組織 集落で農作業をまとめて行う組織 市町村
    法人の形 個人/会社/農事組合法人で使える制度が変わる。中小企業庁系は農事組合法人が対象外のものがある —

    3. 使い道で探す

    補助率=事業費のうち補助される割合。上限=補助金の額。市町村は秋田市・大仙市・横手市を例に載せています。

    3-1. 機械・施設(トラクター・コンバイン・乾燥機・ハウス)

    制度 補助率・上限 窓口 注意点
    地域農業構造転換支援事業(国) 3/10以内・上限 個人1,500万円/法人3,000万円。1件50万円以上 市町村 成果目標(面積・付加価値・労働生産性のどれか)が要る。R8分は随時受付中、R9の受付時期は未公表
    同 融資主体支援タイプ(国) 3/10・上限300万円 市町村・融資機関 融資を受けることが条件
    産地生産基盤パワーアップ事業(国) 1/2 地域農業再生協議会・県 協議会の「産地計画」に参加する形。前回の県公募は12月〜1月
    横手市 未来農業推進事業(市) 30%・上限100〜150万円 横手市 自動操舵つき機械など。買い替えは対象外

    3-2. スマート農業・省力化

    制度 補助率・上限 窓口 注意点
    スマート農業技術活用促進法の認定(国) 補助金ではない 国 認定を取り、導入する機械がすべてその計画の技術と一致すれば、上の構造転換事業の労働生産性の点が満点(20点)
    秋田市 スマート農業導入支援(市) 1/3・1台上限100万円 秋田市 認定農業法人など。水稲15ha以上
    大仙市 持続可能な強い農業支援(市) 1/4〜1/2・上限50〜100万円 大仙市 受けた翌年は対象外(1年おき)
    省力化投資補助金(中小企業庁) — — 対象者に農業者が明記されておらず、登録製品にも農業向けは少ない。使う前に最新の公募要領で確認

    3-3. 加工・販売(6次化=作る・加工する・売るを自分でやる)

    制度 補助率・上限 窓口 注意点
    6次産業化総合支援プラン推進事業(県) ソフト1/2・上限100万円/ハード1/3・上限1,000万円 6次産業化サポートセンター まず相談から
    農山漁村振興交付金(国) 1/2・上限500万円(農泊施設は2,500万円) 地域協議会 個人単独では使えない
    秋田市 6次産業化の取組支援(市) ソフト1/2・上限50万円/ハード上限400万円 秋田市 申請前に市の聞き取りあり
    持続化補助金(中小企業庁) 条件付き 商工会議所・商工会 加工・直売の経費なら対象。作物を作る経費は対象外

    3-4. 人を雇う・育てる・継ぐ

    制度 補助率・上限 窓口 注意点
    経営継承・発展等支援事業(国) 上限100万円 市町村 青色申告・目標地図が条件
    来たれ次期社長候補!経営継承促進事業(県) 1/3・上限100万円 秋田県 20ha以上の認定農業法人などで、外部人材を雇う計画があるもの
    経営発展支援事業(国+県) 国1/2+県1/4・上限事業費1,000万円 県・市町村 認定新規就農者向け。県が予算を付けないと国の分も出ない
    業務改善助成金・キャリアアップ助成金(厚労省) 条件付き 労働局 雇用保険に入っていることが前提
    • 経営開始資金(新規就農者の生活支援)は 年165万円・最長3年間 です(農水省 令和8年度)。市町村のページに旧い額が残っている場合があります。

    3-5. 災害・気候・物価への備え

    制度 中身 窓口 注意点
    鳥獣被害防止総合対策交付金(国) 柵・捕獲機材・クマ対策 市町村の協議会 個人単独ではない
    稼ぐあきたの園芸経営体応援事業 気象変動対策(県) 1/3(新規参入者は1/2) 県・市町村 市町村の園芸拡大計画に入っていることが前提
    収入保険(国・保険) 収入が基準の9割を下回ったとき補てん。保険料の50%を国が補助 農業共済組合 青色申告(前年1年分以上)が条件
    公庫 経営体育成強化資金(融資) 法人5億円まで 公庫 借りる制度
    • 燃料価格の高騰対策(施設園芸セーフティネット)の今年度の公募は7月で終わっています。肥料の高騰対策や県・市町村の今年度の対策の有無は、診断の中でこちらで確かめます。
    • 災害への備えは補助金だけでは足りません。農業版BCP(=災害が起きても仕事を続けるための計画)は、それ自体が審査の加点にもなります(4章)。

    3-6. 借りる(補助金と組み合わせる)

    制度 中身 注意点
    スーパーL資金(公庫) 認定農業者向け。法人10億円まで。返済25年以内。当初5年は利子助成あり 目標地図に載った認定農業者が対象。補助金の残りの部分は利子助成の対象外。予算の範囲内
    青年等就農資金(公庫) 認定新規就農者・無利子・3,700万円まで —

    重ねがけの注意

    • 同じ機械に、農水省の補助と中小企業庁の補助を重ねることはできません。
    • 横手市の高収益作物導入推進は、国・県の事業を使える人を原則対象外にしています。

    4. 点数の取り方(一般論)

    先に3原則
    1. 加点は申し込む直前には取れない。認定・計画・保険加入は 数か月前から 仕込む。
    2. 面積・売上・労働時間は、決算書や作付けの記録で 裏付けられる数字 だけを書く。
    3. 「なぜこの機械が、この地域の10年後に要るのか」を地域計画とつなげて説明する。

    例として、地域農業構造転換支援事業の配点の考え方です。
    – 成果目標が点数の中心(最大20点×2)。予算の半分は「面積拡大」を選んだ人が優先。
    – スマート農業技術活用促進法の認定を取り、買う機械が計画と一致すれば、労働生産性が満点。
    – 小さな加点の積み上げ:GAP 1・青色申告 1・農業版BCP 1・みどり認定 2・輸出 2・女性経営者など 2・労働保険 1・社会保険 1・他産業並みの労働時間 1。
    – 地区の加点:将来像がはっきりした地域計画 +5、誘致団地 +5。地域ぐるみで作り込むと地区ごと有利になります。
    – 融資主体支援タイプの今年度以降の配点は公表資料で確かめられていません。診断の中でこちらで確かめます。

    配点は年度ごとに変わります。ここは考え方の紹介で、点数を保証するものではありません。


    5. 落とし穴

    • 要望調査に乗り遅れる:来年度の分が今年の秋に締まる市町村があります。気づいたときには来年度の枠が終わっています。
    • 交付決定の前に買うとアウト:交付決定(=正式な「補助します」の通知)の前に発注・契約・購入したものは対象外。同じ性能への買い替えや、農業以外にも使えるもの(トラック・パソコン)も対象外。
    • 終わったあとにも報告がある:成果目標は3年目まで報告。届かないと次の申請に響きます。
    • 補助で買った物は勝手に売れない:一定期間内に売る・貸す・捨てると、返還を求められることがあります。期間は交付決定の書類で確かめます。
    • お金は後から来る:交付金は原則あと払いです。買ってから入金までの数か月、全額を立て替える資金が要ります。融資と組み合わせるなら、その順番も先に決めておきます。

    6. 最初に聞く5問(相談の入口)

    1. 地域計画の目標地図に名前が載っていますか?(分からなくても大丈夫です)
    2. 認定農業者ですか? 法人の形は?(個人・会社・農事組合法人)
    3. 何を、いくらくらいで買いたい・やりたいですか?(機械/ハウス/加工・直売/人を雇う)
    4. いつ使いたいですか?(来年度なら、今、要望調査に乗る必要があります)
    5. 青色申告をしていますか? 過去3年に国・県・市の補助を使いましたか?

    7. 相談の入口

    ① 無料「要望調査に間に合うか診断」
    – 上の5問をうかがい、「使えそうな制度」「窓口」「いつまでに何をするか(逆算の日程)」を1枚にまとめてお返しします。
    – 足りない入口の資格(認定農業者・目標地図・法人化)があれば、取り方と順番をご案内します。
    – 市町村・県・公庫・6次産業化サポートセンターなど、つなぐべき窓口へのつなぎを整えます。

    ② スポット相談(1回 10,000円・税別)
    – 1枚の診断をもとに、90分で「今年の秋〜来年の春に何をするか」を一緒に決めます。伴走に進む場合、この相談料は伴走の費用から差し引きます。

    ③ 有料の伴走
    – 秋の要望調査から、加点の仕込み、交付決定と立て替えの谷、実績の報告まで。翌年の要望調査にもう一度乗るところまでを一緒に回します。
    – 計画の基礎資料づくり(数字の整理・地域計画との整合の確認)と締切の時期管理を担います。
    – 料金は作業の量で決め、採択の結果では変わりません。
    – 年額 120,000円(税別)。節目は年4回(10月 要望調査/1月 加点の仕込み/4月 交付決定と立て替えの谷/9月 実績の報告)。お支払いは収穫のあとに1回です。
    – 大きな機械・施設で3年間の成果報告が続く場合、その報告の伴走は別にお見積りします。

    この相談でやらないこと
    – 申請書・計画書を代わりに作成・提出することはしません(官公署に出す書類の作成は行政書士の業務です。必要な場合は行政書士をご紹介します)。
    – 採択をお約束することはできません。

    お問い合わせフォームへ


    出典(クリックで開く)