ゲームの中にNPC(ノンプレイヤーキャラクター)という存在がいます。鍛冶屋は朝6時に店を開け、正午に飯を食い、夕方に家路につく。1993年のUltima VIIというゲームでは、各NPCに4バイト×8件のスケジュールが書き込まれていました。たった32バイトで1日の行動が決まる。
さて、あなたの1日はどうでしょうか。
朝7時起床。8時通勤。9時始業。12時昼食。13時打合せ。17時退社。19時帰宅。23時就寝。──これ、8スロットに収まりますよね。
日本のビジネスパーソンの統計を見ると、さらに厳しい数字が並びます。睡眠時間はOECD最下位の7時間22分。通勤は首都圏で往復100分。仕事にやりがいを感じている人はわずか6%(Gallup調査・世界最低水準)。
でも、これは個人の問題ではありません。「スケジュール駆動型NPC」という構造の問題です。いつ、何を、どの順序でやるかを他者が決めている状態が長期化すると、人は自律性を失い、やる気そのものが消えていく。心理学ではこれをSelf-Determination Theoryで説明します。
AI時代に必要なのは、このスケジュールを「自分で書き直す」ことです。AIに定型業務を任せ、人間は「何を達成したいか」「どの判断を下すか」に集中する。32バイトのスケジュールから脱出する第一歩は、「この作業、AIにやらせたらどうなる?」と問うことから始まります。