仕入価格の上昇分のうち、販売価格に転嫁できているのは45〜48%。半分以上を自社で吸収しているのが、中小企業の現実だ。
日本政策金融公庫の調査が示すこの数字は、2024年時点のもの。内閣府の令和7年度経済財政白書は「コストカット志向から脱し、賃上げを起点とする成長型経済に移行できるかが分岐点」と述べているが、価格転嫁が半分もできていない中小企業にとって、賃上げは「したくてもできない」のが本音だろう。
値上げできないなら、コストを下げる。でも、人は減らせない。
多くの経営者がこのジレンマに陥っている。値上げすれば客が離れる。人を減らせば業務が回らない。原材料費は自分ではコントロールできない。八方塞がりに見える状況だ。
しかし、第3の選択肢がある。「人を減らさず、作業を減らす」。つまりAIによる省力化だ。
具体的に何が変わるか
中小企業の「見えないコスト」は、事務作業に集中している。見積書の作成に30分、請求書の処理に20分、在庫確認に15分、日報の記入に10分。1日あたり1〜2時間。月に30〜40時間。年間で400時間近い。
AIで半自動化できる作業を洗い出すと、この400時間の半分——200時間は確実に削減できる。時給換算で20万円〜30万円分の作業量だ。これは「値上げせずに利益を増やす」ことと同じ効果を持つ。
経済財政白書が示す「2040年に名目GDP1,000兆円」という目標。その道筋として政府が重視しているのが、AIを活用した生産性向上だ。価格転嫁率45%の壁を、値上げではなくAI省力化で乗り越える。これが2026年の中小企業にとって最も現実的な戦略だ。
合同会社ヨミノワは、秋田を拠点にAI活用の伴走支援を行っています。
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