連載の最終回です。1回目で「三方向から締められる万力」、2回目で「個人の信頼(のれん)で選ばれる時代」の話をしました。最後は、その足元を冷やしかねない波の話です。金利です。
多くの社長さんは、いま「秋の仕入れ値上がり」を心配しています。それは正しい。でも、もっと早く効いてくるものがあります。それが金利です。
2026年6月、日本銀行は政策金利をさらに上げる見通しが強まっています(市場の織り込みは約7割)。なぜ今なのか。物価が上がり続ける流れを、本格的なインフレになる前に抑えにいく、という考え方です。中東情勢で原油が上がっていることも、利上げを後押ししています。
ここで大事なのは、「短期の政策金利」より先に「長期の金利」が動くことです。長期金利は、住宅ローンや、長めの設備資金の利率に効いてきます。つまり、仕入れ値が本格的に上がる秋より前に、借入のある会社・これから借りる会社の負担が、じわっと重くなる可能性がある。
中古マンションを「ネットで見ていいなと思って買う」ような勢いにも、金利のブレーキがかかり始めます。不動産・建設・住宅まわりは、特に早めに体感するでしょう。
では、秋田の中小企業の社長は、何をすればいいか。三つだけ挙げます。
ひとつ、借りるなら早めに、固定金利を検討する。 これから金利が上がる局面では、変動より固定のほうが計算が立ちます。日本政策金融公庫など、固定で借りられる窓口の相談は、先延ばしにするほど条件が不利になりがちです。
ふたつ、重い固定費を増やす投資は、いったん立ち止まる。 1回目の「万力」を思い出してください。金利が上がる時代は、重いものを抱えるほど苦しい。借りて大きく構える前に、固定費を軽いまま戦えないか考える。
みっつ、「のれん」への投資は、金利と関係なく進める。 2回目の話です。あなた個人の信頼を育てる発信や関係づくりには、お金も借入もほとんど要りません。金利が上がっても下がっても、これは効きます。むしろ、お金で殴り合う勝負がしんどくなるほど、お金のかからない信頼の価値が上がります。
まとめると――給料・売値・仕入れの万力、看板から個人へ移る信頼、そこに重なる金利。三つは別々の事件に見えて、同じ一つの地形の変化です。一時的な不況ではなく、戻らない地殻変動だと考えたほうがいい。
戻らないなら、嘆いても仕方ない。来た地形の上で、固定費を軽くして、自分の信頼を育てて、淡々と配管を組み替える。それが、この時代にいちばん強い構えです。
3回お付き合いいただき、ありがとうございました。具体的に「うちの場合どうすれば」を考えたい方は、お気軽にご相談ください。