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「値上げもできない、人も雇えない」── 真ん中の会社がいちばん苦しい理由|ヨミノワ

    最近、こんな実感はありませんか。

    「人を雇うには給料を上げないと来てくれない。でもお客さんは少しでも安い店を選ぶ。そのうえ仕入れの値段まで上がっている」。

    これは気のせいでも、あなたの会社だけの話でもありません。いま日本中の「ふつうの会社」が、三方向から同時に締めつけられています。

    ひとつ目は人件費。2026年春の賃上げは、飲食やサービス業で平均5%を超えました。過去2番目の高さです。人手不足で、給料を上げないと人が集まらない。

    ふたつ目は売る値段。たとえば大手の牛丼チェーンは、並盛を480円から450円へ下げました。それでもお客さんが増えている。みんな「少しでも安いほう」へ流れているのです。値上げした会社からお客さんが逃げていく。

    みっつ目は仕入れ。中東情勢の影響で、原油や原材料の値段が春先に約2割上がりました。この上昇分が実際に効いてくるのは、これからの夏から秋にかけてです。

    給料は上げる、売値は上げられない、仕入れは上がる。この三つに挟まれて身動きが取れないのが、人を多く抱える「労働集約型」の中堅企業です。万力(まんりき)で真ん中を締めつけられているような状態です。

    では、この万力に締められずに済んでいる会社は、どんな会社でしょうか。観察すると、たった二種類しかいません。

    ひとつは、仕組みで人手を減らした会社。先ほどの牛丼チェーンは、セルフレジや厨房の機械化で生産性を上げ、その分で賃上げと値下げを両立させています。社長いわく「生産性を上げないと、賃上げの原資は生まれない」。正論です。

    もうひとつは、そもそも大きな固定費を抱えていない会社。大勢を雇わず、家賃の重い店舗も持たず、借金もしない。締めつける対象(重い固定費)が最初から無いので、万力が効かない。

    どちらも共通しているのは「固定費を軽くする」ことです。重いものを抱えているほど、この時代は苦しくなります。

    ここで多くの社長さんが見落としがちなのが、「効いてくる順番」です。みんな秋の仕入れ値上がりを心配しますが、実はその前に来るものがあります。金利です。これについては、この連載の3回目でお話しします。

    そして次回は、「値段でもなく、宣伝でもなく、”あなた個人”で選ばれる会社」が静かに増えている話をします。固定費を軽くした先に、何で食べていくのか。そのヒントです。

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