ChatGPTやClaudeを使っていて、こんな経験はありませんか。先週終わった打ち合わせを「明日の件ですね」と言われる。夜11時に長文の戦略議論を投げかけられる。昨日合意したはずの方針を、今日ゼロから議論し直される。
これはAIが「バカ」なのではありません。もっと根本的な問題です。AIは「今しか存在しない」のです。過去のやりとりも、未来の予定も、プロンプトで教えてあげないと認識できない。
実は、この問題はゲームの世界で30年前から知られていました。
1992年、Ultima VIIというゲームで、鍛冶屋のNPC(コンピュータキャラクター)に初めて「時刻表」が与えられました。朝6時に店を開け、正午に食事し、夕方に帰る。たった32バイトのデータで「日課を持つ存在感」が生まれ、ゲームの世界が一気にリアルになった。
それから30年、ゲームAIは進化しました。欲求で動くSims(2000年)、目標を逆算して戦術を組み立てるF.E.A.R.(2005年)、関係性の深さで解放されるイベントを持つStardew Valley(2016年)、そして2023年にスタンフォード大学が発表した「Generative Agents」── AIが記憶し、反省し、計画する仕組み。
ビジネスでAIを使うとき、この30年の蓄積は直接役立ちます。AIに「定例会議は火曜10時」「この顧客には月末に連絡」「社長は朝7時から活動開始」と教えるだけで、AIの応答品質は劇的に変わります。
AIに時計をあげましょう。32バイトの鍛冶屋が教えてくれたように、少しの情報で世界は変わります。